1万XYMからはじめるSymbolハーベスト

2021年3月にローンチされたSymbolメインネットですが、ローンチ直後からいわゆる「仮想通貨マイニング」のような仕組みの「ハーベスティング」が話題になっています。

ローンチから最近までは、自力でXEMをオプトインしてXYMを受け取ったいわゆる「詳しい人」しか参加していなかったこの「ハーベスティング」ですが、取引所での取扱が増えるにつれ、これからはじめてみようと言う人が増えてくると思います。

ハーベスティングを行い、ブロックのハーベスタとして認定されると、ハーベスト報酬(ブロック手数料およびインフレーション報酬)を受け取ることが出来ます。このハーベスト報酬(特にインフレーション報酬)を利子のような形で受け取ることができ、収入として期待できるものであることから注目されているのですね。

ハーベスティングは「マイニング」や「レンディング」に少し似てる部分がありますが、以下のような特徴があります。

  • マイニングと違い、専用のコンピューター、GPUやASICと、そして電気代を使う必要がない
  • レンディングと違い、サービス業者やDeFiプラットフォームに大切な資産を預ける必要がない
  • 残高は自分のウォレットに入れたまま、(理論上は)コールドウォレットに入れたままでもハーベスティングは行うことができるので、圧倒的にGoxリスクが低く、安全

この記事は、今から「ハーベスティング」をはじめてみようかな?と思う人に向けてのガイドになればと思って書いています。また、既にハーベスティングを行っている人にも参考になればと思って書いています。よろしければ最後までお付き合いください。

目次

ハーベスティングでいくら受け取れるか?

Symbolメインネットではブロックが30秒で1つ進む程度の設定にされており、実際にほぼ30秒程度で新しいブロックが生成されています。このブロック生成ごとにハーベストが行われ、ハーベスト報酬(該当ブロックで承認されたトランザクションの手数料およびインフレーション報酬)がハーベスターに対して支払われます。

インフレーション報酬はブロックが進むにつれ少なくなるよう設定されていますが、この記事を書いている時点では192xymのインフレーション報酬が支払われています。
これに対してブロック手数料は数xym程度ですので、主にインフレーション報酬がハーベスト報酬の大部分となっています。

ハーベスト報酬は1アカウントに全て支払われるのではなく、選ばれたハーベスターに対して70%、委任ノードの指定した受益者アカウントに25%、ネットワーク手数料シンクアカウントに5%支払われます。この記事を書いている時点では委任ハーベストを設定した一般的なユーザーのアカウントがハーベストに成功したとき、130〜140xym程度が支払われており、1xymあたり45円としても6000円前後の報酬となっています。

どれぐらいの頻度でハーベストできるか?

ハーベストの頻度はインポータンス、主に残高から算出される値に比例します。

既存のアカウントの実績からおおよその予想をするとすれば、筆者の61万XYMを保有しているアカウントでは、およそ1日1回程度の頻度ですので、最低限の1万XYM保有アカウントでは、2ヶ月に1回程度のハーベストが期待できそうです。

1万XYMに対して12ヶ月で6回のハーベストに成功し、平均100XYMの報酬を受け取るとして600XYM、年利6%と考えると、サービスそのもののGoxリスクのあるレンディングや、より高いAPRのDeFi系と比べても、選択肢の一つとして有力ではないでしょうか?

しかしながら、ハーベストに参加するアカウントが増えれば、既存のアカウントのハーベストの頻度は落ちてしまいます。さらにインフレーション報酬は徐々に減っていくように設計されていますので、ハーベストへの参加は早ければ早いほど良いといえるでしょう。

ハーベスティングに必要なもの

特別なサーバーの運営や電気代を必要とせず、一般的なユーザーが行うタイプのハーベスティングを「委任ハーベスト」といいます。これを行うために必要なものは「1万XYM以上の残高が入ったSymbolウォレット」これだけです。

より詳しく説明すると、1万XYM以上の残高の入ったウォレットに「インポータンス スコア」が付与されていることが必要です。インポータンスについては、1万XYM以上の残高を保有した後、6時間ごとに自動計算されますので、残高を移動してから12時間以上経過していれば付与されていることでしょう。実際に付与されているかどうかはSymbolブロックチェーンエクスプローラーからアドレスを検索すれば確認することができます。これはデスクトップ版ウォレットの右上にある「エクスプローラー」のリンクをクリックすることにより直ぐに開くことができます。
参考までに現時点で4回のハーベスティングに成功した筆者のデスクトップウォレットのアカウントへのリンクを貼っておきます。

また、1万XYM以上と表現していますが、委任ハーベストの設定のために数XYM余分に必要になりますので、今から取引所などで入手する場合は1万XYMぴったりではなく、1万XYM+取引所からの出金手数料+委任ハーベスト設定のための手数料が必要です。送受信の確認などに送金を複数回することや委任ハーベスト設定のやり直しなどを考慮して、10XYM程度は余分に用意しておくのが良いでしょう。

SymbolウォレットについてはPCデスクトップ版ないしモバイルウォレット版どちらでもかまいませんが、ここではPCデスクトップ版を参照した解説を行います。
デスクトップウォレットのダウンロードおよびインストールにについては公式ドキュメントのウォレットについてのセクションを参照してください。
また、可能であれば、Symbolデスクトップウォレットでサポートされているハードウェアウォレットの「Ledger」を利用することをオススメします(そしてSymbolデスクトップウォレットがTrezorもサポートしてくれることを祈ってます)。

委任ハーベスト設定の手順

その1. 10,000XYM以上の残高を用意する

Symbolデスクトップウォレットを準備し、単一のアカウントで10,000XYM以上の残高を保有します。

10000XYM以上の残高がある状態

左上オレンジ色の丸が残高です。
右上水色の丸の「エクスプローラ」をクリックすると、アカウント情報をブロックチェーンエクスプローラー上で確認することができ、そこでインポータンスを知ることができます。

その2. インポータンスに値がつくのを確認する。
インポータンスが与えられていない状態

Symbolブロックチェーンエクスプローラーを開いた様子です。
真ん中黒丸の部分で「インポータンス」を確認することができます(スクリーンショットではまだ計算されていないため0%のままになっています)。
10,000XYM以上の残高を移動した後、720ブロックごとに行われるインポータンス計算を2回・最大で12時間程度経過した後に確認すると、インポータンスに数字が入っていることが確認できると思います。それまで他のことをやって待ちましょう。
もちろん以前から残高が十分にあるアカウントであれば、既にインポータンスに値がついていると思いますので、そのまま次の手順に進みましょう。

時間が経過し、インポータンスが与えられた状態
720ブロックごとのインポータンス再計算ブロックを2回過ぎることで最初のインポータンスが与えられる
その3 委任ノードを指定してキーリンクのトランザクションを生成する
ノードURLに ls1.rellc.jp を指定している

Symbolデスクトップウォレットの左メニューから「ハーベスティング」を選択し、デリゲートハーベスティングの開始画面を開きます。

この時点で左上に表示されている「ハーベスト状況」が「🔴 無効」となっていることが確認できます。これを「🟢 有効」にするために手続きを行っていきます。目指せ!緑の丸!です。

まずは「すべてのキーをリンク」するために「ノードURL」を選択か入力し、委任ノードを指定します。

このスクリーンショットでは筆者のノード ls1.rellc.jp を指定しています。
通常の設定のノードは委任者を「インポータンスの高い順」に保持するようになってします。これは効率的なノード運用をするための設定ですが、筆者のノード ls1.rellc.jp では委任情報の保持を先着順で行っているため、インポータンスのより高いアカウントに追い出されるということはなく、一度設定に成功すればインポータンスがある限り、安心してそのまま放置することができます。
また、ls1.rellc.jp ではhttps通信に対応していますので、xembookにて委任ノードの設定をすることが可能で、 https://xembook.github.io/xembook/?address={自分のアカウント} へアクセスすることにより、ウォレットを開かなくても委任ハーベスト状態やレシートの確認をすることが出来ます。
委任枠のある限り受け付けておりますので、ぜひ委任ノードに ls1.rellc.jp を指定してください。もちろん他の支援したいノードや知り合いのノードがある場合そちらを優先してあげてくださって大丈夫です。
以上、お察しの良い方はお気づきの通り、委任ハーベスターとノード報酬が目的のブログエントリを利用した ls1.rellc.jp の宣伝でした。

委任ノードURLを指定したのち、「すべてのキーをリンク」をクリックし、キーリンクを行うトランザクションを生成します。これには最大1XYM程度の手数料が必要です。
また、Symbolウォレット1.0.2以降では、インポータンスの値がない状態でこの処理を行おうとするとエラーとなり進むことができなくなったため、混乱することは少なくなったと思います。辛抱強くインポータンスが計算されるまで待ちましょう
キーリンクを行うトランザクションは、3つのキーに対するリンクを作成するトランザクションを1つのアグリゲートトランザクションとして作成されます。
委任ノードURLを指定して「すべてのキーをリンク」をクリックすることにより、トランザクションは自動的に生成されますので、想定される手数料を確認し、パスワードを入力することによりトランザクションに署名をして、ネットワークにアナウンスすることが完了すると、状態が一つ進み、ハーベスト状況は「🟡  リンク済みキー」となります。

ノードURLを指定し、「すべてのキーをリンク」をクリックして表示されるダイアログから「確認」を押して進みます
キーをリンクするTXに署名するため、アカウントのパスワードを入力します
キーリンクのTXが提出され、承認を待っている状態
キーリンクのTXが承認され、委任ハーベストの依頼を出すのを待っているだけの状態
その4 ハーベスティング開始のトランザクションを生成する

キーがリンク済みになった状態ではまだ委任ハーベストは有効になっておらず、開始されていません。
同じデリゲートハーベスティングの画面からパスワードを入力し「ハーベスティングをリクエスト」をクリックすることにより、有効化を依頼するトランザクションを生成、署名してハーベスティングを開始することになります。

VRFキーを暗号化するためのパスワードを入力します
リクエストを行うTXに署名するため、パスワードを入力します
有効化するためのTXを送出しました

トランザクションを送信すると、状態は一旦「🟡 有効化の進行中」となりますが、ウォレットの調子によっては「🟡  リンク済みキー」の表示のままのことがあります。
特に気にすることはなく、有効化を依頼したトランザクションがネットワーク上で承認されブロックに取り込まれた後、ハーベスト状況が「🟢 有効」となれば全ての手続きは完了です。

委任ハーベスティングが有効化できた状態。あとは寝てOKです!
最後に、待つ・・・これだけです!

1万XYMではじめた場合は前述の通り、2ヶ月に1回程度のハーベスティングが期待できます。
だからといって2ヶ月後には必ずハーベスト出来ているとは限りません。1ヶ月後に成功して、次は3ヶ月後かもしれませんし、4ヶ月後に突然成功して1ヶ月後にまた成功するかもしれません。
とにかくハーベスト状況が「🟢 有効」になっていれば大丈夫ですので、気長に待ちましょう。

ハーベスト状況意味
🔴 無効ハーベストは開始されようともしていない状態
残高・インポータンス不足でハーベスト資格がない、など
🟡  リンク済みキーキーリンクのトランザクションが承認された状態
しかしながら、委任ハーベストの開始依頼が出されていない
🟡  有効化の進行中委任ハーベストの開始依頼が出され、ノードからの応答待ち
🟢  有効委任ハーベストの依頼手続きが完了し、委任先のノードがハーベスティングを行っている状態
ハーベスト状況の一覧と意味

トラブルシューティング

・インポータンススコアが付かない
=>アカウント残高は1万XYM以上ありますか?ウォレット全体ではなく、1つのアカウントに必要です
=>残高が1万XYM以上になってから、720ブロックごとのインポータンス計算を2回以上過ぎてますか?これには最大12時間程度かかります

・キーリンクまたは委任ハーベスト開始のトランザクションが承認されない
=>トランザクションの混雑具合や送信先のノードの優先度設定、ノード間の同期の失敗などの要因で、キーリンク開始や委任ハーベスト開始のトランザクションが承認されないことがあります
=>承認されなかったトランザクションは通常2時間で無効になりますので、ウォレットを閉じ、いったん2時間以上待ってから、再度トランザクションの生成をやりなおすと良いでしょう
=>このとき、優先度を手数料順でなく先着順に設定しているノード ls1.rellc.jp を使うと、おそらく間違いなく承認されると思います。前述の通り ls1.rellc.jp は僕の管理しているノードです。

・「有効化の進行中」のオレンジのまま、いつまでたっても緑にならない
=>委任ハーベスト開始のトランザクションが承認されないことによりこういう状態になってしまうことがあるようです
=>最新バージョンのデスクトップウォレットを使用しているか確認してください。この記事を書いている時点では4月13日にリリースされたv1.0.2が最新バージョンです
=>最新バージョンのデスクトップウォレットになっていない場合、アップデートしてください。その後状態がオレンジのままであれば、いったんウォレットの手順に従って解除して、再度トランザクションを生成します

参考資料・追記

ハーベスティングについてのさらなる詳細は、公式ドキュメントのハーベスティングのセクションを参照してください。

ノード運営者は是非タヌソンslackに参加して情報を共有しましょう!

現時点ではSymbolデスクトップウォレットの標準機能でLedgerを利用してのリンクキーの作成(署名)ができなかったため、(理論上は)と入れています。

投稿者: rhosoi

アールホソイです。

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